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スクールの考え方「第三回」

中・高校生の不登校

中学生になると、人からよく思われたいという欲求が強くなりますが、今日の過酷な勉強中心の競争の中では、満足させられない場合が起こります。誰もが経験をするこのような挫折も、それをバネとするならプラスのエネルギーに、劣等感を強くして不安や葛藤に苦しむならマイナスのエネルギーを生んでしまいます。

明るかった子供も、徐々に失敗を恐れ、何事にもためらいがちになり、全体的に消極的になると緊張感が高まり、病気や試験、友人関係や家庭の事情などをきっかけにして、動けなくなります。その時自尊心が高く、繊細で、傷つきやすい心を持った子供は、周囲の攻撃に対して沈黙を守ったり体に変調を起こす事で自分を守ろうとします。
「周りの人はいつも自分を優しくいたわってほしい、自分が尻込みしたら手を引っ張ってほしい、それでも動けなくなったら手を握ってそばにいてほしい」これは親の庇護を必要とする子供の気持ちです。幼児期、親に頼らないと生きていけないから依存心は強く自分本位です。中学生、高校生になっても親からの精神的離乳がうまく行かない時、傷つきやすく、不安定な精神状態になってしまいがちです。

この時、心の中は悲観的で理屈に合わない思い込みにとらわれています。「勉強できないから、自分はダメな人間だ」とか「学校を辞めたので自分の将来はない」などですが、その根底には「成績の良い人間は優秀なはずである」「学校を卒業した人に未来は明るいはずだ」などの「~はずである」「~ねばならない」という事実にならない思い込みにとらわれています。知能や学力は、上下はあっても人格を評価する事ではありませんから、誤った思い込みなのですが、そのため心はいつも不自由な状態です。

考えるべきは、学校へ行く・行かないではありません。社会へ出て行けるか。行けないのであれば、どうすれば良いのかなのです。
「かくあるべし」「かくありたい」と願う向上心や、真実や、美しいもの、正しいものを追究する心を持ちつづける事は、大変難しい事です。大人達がいつの日か忘れてしまった崇高な精神や、自尊心は大切に守りぬかなければなりません。

不登校の子供達の掲げる理想は、高いがゆえに彼等を苦しめ、現実からの逃避という形を取ってしまうのです。現実は偽りや醜いものもありますが、それに対して自己主張する事をひかえて、自分を責めてしまうのです。

過去を否定的に、現在を消極的に、未来を悲観的に考えてしまう習慣を、さまざまな見方、考え方がある事を知る事で変化させる事が大切です。人間は生物に共通する基本的欲求である「安全に生きたい」という願望を一番に持ちます。健康でありたい、おいしいものを食べたい、そして家族の中で安心して暮らしたいなどです。次に集団に帰属したい欲求、仲間と共にいたい、愛情に包まれていたいなどです。そして人から認められたい、尊敬されたい、自信を持ちたいという、より高い欲求があります。最も高いものとしては、人は創造したい、能力を発揮したいという欲求があります。

自信は自分を信じると書きますが、自分の可能性や未来を、希望を持って信じる事です。過去を肯定的に、今を積極的に、未来を楽観的にみる事です。発達途上にある自分、傷つきやすい自分、何かにとらわれてしまいそうな自分を見詰める事が出来たならば、本物の自信を得る事になるでしょう。
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テーマ : 子供の教育 - ジャンル : 学校・教育